① ② ③ ④
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1 :キチママちゃん:2009/09/05(土) 23:26:05.40 ID:nJeac/kF0
俺はおもむろに左手首に包帯を巻いて登校した。
もちろん怪我なんてしてないし、傷があったわけでもない。
強いて言うなら幽遊白書が好きだった。
学校では男子からも女子からも人気者だった。
「どうしたの?大丈夫?」とか心配されチヤホヤされた。
この大丈夫の対象は頭じゃない、と今でも信じてる。
そんな民間人に俺は愁いを含んだ表情で
「ちょっと、ね。気にしないでくれ…」と言った。
あと「ハハっ」みたいな意味深な笑いもつけたと思う。
小学校では体育が出来る=モテるというアフリカみたいな方程式があったはずだ。
アフリカ行ったことないけど。
そのおかげで俺もそこそこモテた。
ある日、机の中のお道具箱に手紙が入ってた。
クソワラタwww
と書かれていた。
なんという回りくどい方法!
手紙を使った上に、さらに本人じゃない、という新手に俺は若干うずいた。
何を隠そうその時の俺は暗号に凝っていた。
これは間違いなく隠されたメッセージ、それも命に関わる……
何の疑いもなくそう確信した。
放課後、約束の地……つまり校庭のすみっこに行った俺は拍子抜けした。
そこにはクラスの子とその友達がいただけだった。
いや、これはデコイ。彼女たちは操られていて、どこかで見張られている!
そう解釈した。
もちろん違った。
その子はクラスでも人気のあるほうだったんだけど
その時の俺は幽白にはまってたので、こう答えた。
「3年、待ってくれ。そしたら結婚しよう」
小五じゃ三年後でも結婚できないことを忘れていたのは言うまでもない。
彼女はきょとんとしていた。
「じゃ、ちょっとやらなきゃいけないこと…あるから」
と言って踵を返した。
やらなきゃいけない事というのは掃除だった。
次の日、俺は謂われのないいじめにあった。
女子からは「何考えての?」とか言われた。
噂って広まるのはやい。
その日から俺のあだ名はなづけになった。
多分許嫁からきてるんだろけど、どうせならもうちょっとかっこいいのがよかった。
その頃の俺は、日常に退屈していて周りの人間にも辟易している
という設定だったからだ。
いじめをいいことに休み時間とかも外を眺めてぼーっとしてた。
時々、復讐の時…まだ早い…か。とか妄想しながら。
その時に耳に入る友達の遊んでる声はちょっと心に響いた。
さすがにみんないじめにも飽きて、俺は「別に無害」みたいな立ち位置になっていた。
それより卒業式でやる劇の演目のほうが話題の種だった。
俺の厨二魂はふつふつと燃え上がっていた。
これが俺が提案した演目だった。
さすがにこれは今思い出すと死にたい。
それまで「現代版桃太郎」とか「ドラゴンボール6-2」とか
そんな感じの微笑ましい流れだったが
俺の一言でそれが崩壊した。 司会係が「え?もっかい言って」って言ったのが本当に憎い。
二位の「現代版桃太郎」に倍の票差をつけて
「裏舞踏会」が卒業式の演劇に選ばれてしまった。
ふふ…世界は俺を選んだ…。とか一人悦に入ってた。
それが大きな間違いだと気付くのはもう少し先のこと。
心が痛い(ノ_・。)
一瞬、これ壮大ないじめなんじゃね?と思ったけど
思いの外みんな乗り気だった。
特に男子はようやく厨二病の覚醒が始まったらしく
早速あーじゃないこーじゃないと盛り上がってた。
一方、俺に告白してきた子はぽかんとしてた。
片思いの好きな子がいて、その子はバレエ教室に通っている。
主人公はその子と少しでも仲良くなるために自分もバレエを習おうと決意する。
早速習いに行くがそこは妖怪が跋扈する闇の教室だった。
しかしそこで主人公は包帯を解き秘められた力に覚醒する。
みたいな内容だった。
もちろん却下された。特に女子から。
いや、それ普通じゃないだろw
話がかわいくない。←可愛い子の発言
犬を出してほしい。←俺に告白してきた子の発言
妖怪はやだ。←ブスの発言
そこで俺は思わず言ってしまった。
「おまえが妖怪役だ、ブス」
その頃は烈火の炎にはまっていて、俺は紅麗だった。
だからこれくらい言っても当然平気だと思った。
というより俺すげーかっこいいこと言った!輝いてる!とか思った。
>>1は不登校に
(-人-)
ヒッキー誕生
それも俺が求めてる異能バトルみたいな修羅場じゃなくて
ブスが涙と鼻水と唾をまき散らしながら騒いで
その横で女子がひっどーいとかサイテーとか捲し立て
男子はケラケラ笑うというものだった。
「フン…消し炭にしてやろうか」と俺は心の中で毒づいた。
と思ったら発言してた。
糞ワロチ
一瞬背筋が凍るような間があった気もするけど
女子は、なんかわかんないけどさらに悪口言った程度で
男子は、なんかわかんないけどこいつ反省してねえw程度だったと思う。
そのお陰で事なきを得た。
と思ったらブスが叫んだ。
「あんたこそ燃えて死んじゃあqwせdrftgyふじこ」
てめー聞こえてたのかwwwwって感じだった。
「もう帰ろうぜ。今日Jリーグあるし」と言った。
大方の女子は頷いてた。さすがイケメン。
ブスは、え?マジで?ちょw待ってwみたいな仕草してたけど
みんなもう飽きてたんだと思う。小学生って怖いよな。
俺は心の中でどうこの劇で女子を貶めるかを考えてた。
もちろん斜め上を向いて遠くを見つめるようなポーズを取っていたのは言うまでもない。
まずみんなの意向に添った偽の台本を用意する。
↓
それと並行して男子を味方に付けて、本当の台本を作る。
↓
女子はみんな妖怪役とは露とも知らずに本番。
↓
ハッハーエンジョイ&エキサイティング
俺が授業中に「先生!ちょっとトイレ行ってきます!」
とか言って、難事件を解決したり
他の男子が遊戯王にはまり「闇のゲームだ!」
とか言って、小火を起こしたり
例の告白してきた可愛い子と隣の席になったり
と思ったら反対側が例のブスだったり
とかはあったけど、平和な日々だった。
クラスの女子が心配そうな目をしてこっちを見てたのを今でも鮮明に覚えてる
男子は9割くらいが味方だった。
何よりイケメンがゲーム好きで同じ匂いを嗅ぎ取ったのか
味方になってくれたのがでかかった。もうあとは芋づる式。
その頃のブスのあだ名は顔が似てるとの理由から下痢だった。
正直今でもこれを命名した奴は鬼畜だと思う。俺だけど。
ついに、女子は何も知らないまま開演となった。
お前の小学校どうなってたんだ
目立つグループの女子がヒロイン。イケメンのおかげでノリノリ。
俺は途中で主人公の仲間になる役。我ながら迫真の厨二演技。
俺に告白してきた子も途中で仲間になる役。計画通り。
ブスはヒロインの友達1。完全に悪意ある配役。
ついに主人公と仲間がヒロインを救い出すという状況。
ちなみにここまでは妖怪ではなく敵に操られたという設定。
そこで作戦発動。
主人公がおもむろにブスを段ボールの剣で斬る。
俺もそれに乗じて「ついに姿を現したか…闇の者め…」とか言ってた。
もちろん女子と先生唖然。男子はやいのやいのの大騒ぎ。
男子は手当たり次第にそこらへんのセット壊すし
女子は逃げたり叫んだり。
事情を聞かされてなかった先生は…知らない。
多分おとなしいし放任な人だったから、怪我がなけりゃいいや程度だと思う。
会場は、他のクラスはあーひゃひゃひゃwwとか聞こえて大盛り上がり。
父兄は見てないけど多分口あんぐりだと思う。
とか言ってブスをしこたまぶった覚えがある。
といってもへたれた段ボールだし、多分全然痛くなかったはず。
そして、女子が消え去ったのをみて何故か俺が締めた。
「邪気は消えた…か。どちらも…多くの血が流れた。が終わった」
とかだった気がする。男子は傷ついてないけど。
そこで閉幕。6-2の男子を除いて他はイミフwwだったと思う。
これで俺の復讐劇は終わった、と思った。
本当の修羅場はこれからだった。
相変わらずクラスの男女間の雰囲気は最悪。
一部イケメンとかは何故か許されてて気軽に女子と話してたけど。
まあ俺もしてやった感があったし、若干やりすぎたとも思ったので
おとなしくしてた。
けど。
そこで体操服が盗まれるという事件が起きた。
ちなみにあだ名はケニア。髪がチリチリだったからという可哀想な由来。
これをつけたのはイケメンだった。
勝機!とばかりにブスグループが猛攻撃を仕掛けてきた。
クラスのおとなしい男子が犯人扱いされたり
俺も謂われのない罪をかぶせられたり。
あとでバレるんだが、犯人はデブの男子だった。
あまり面識はなかったけど、俺が剣と魔法のファンタジー脳なら
彼は戦闘機と軍隊脳って言ったところか。
一度休み時間に彼の席の後ろを通ったら
「クク…爆撃だ…やれ!」とか呟きながらノートに一心不乱に
何かを書き綴っていたのを覚えている。
彼は事件が発覚した当初、我関せずって感じだった。図太い奴だ。
よかったなファンタジー路線で
彼は俺の立てた復讐劇に感心。
幕袖にいるときは敵地に潜入する兵士の気持ちだったとか。
そして彼なりに盛り上げようと考えたらしい。
それが最終リハの休憩の間に教室に戻り体操服をパクる、という作戦。
これは難なく成功。
本当はクラスの可愛い子のがよかったけど、無かったからケニアので妥協。
しかし帰り道でいらなくなりドブに捨てた。
現在に至る。
という感じの告白を放課後、クラスの発言権のある男子が数名残った時にしてくれた。
これはこれで面白いなww
しばらくケニアの髪のチリチリ具合とか下痢は近づくと臭いとか
そういう他愛のない話で盛り上がってた。もちろんイケメンも参加。
しかし、次第に…やばくね?って雰囲気になった。
ところがそこで俺の厨二精神炸裂。
「あれはもう無くなったんだ…失ったものは戻らない。しかし、新たに作ることはできる」
みたいなこと言った気がする。我ながら震えた。会心の名台詞。
けど、当時の俺含めそこにいたみんなはすっかり厨二病患者だった。
イケメンも「そうだな。俺らなら!」みたいなこと言ってた気がする。
デブも「偽装作戦か…」とか呟いてたけど、これは俺には意味不明だった。
そうしてケニア体操服コピー作戦が決行されることとなる。
そもそも俺の厨二病から生まれた無責任な言葉。
なんとなくかっこいいし言ってみよう程度にしか考えてなかったから
まさか最近家庭科で覚えたミシンで体操服作ろうぜwってことになるとは思わなかった。
そして当然のように挫折。布もないし、家庭科室開いてない。
そこでイケメンの家でやることになった。
家庭科で作ったエプロンを褒められた俺はちょっと自信があった。
デブはなんかやたら本格的な道具とか持ってきてた。
イケメンはノリだけなので、授業でもらったはずの裁縫箱は「どっかいった」とか言ってた。
しかしエプロンとか手提げと違い体操服に大苦戦。
あの名前を入れるワッペンもない。
そもそも先生いないとミシンとか複雑すぎて触れない。
途中で飽きた俺たちはバイオハザード1をやって遊んだ。
今でもあのゾンビ共は怖い。ちなみにこのゲームも後々あることで影響が出る。
さて、そろそろ帰ろうかって時に、イケメンの兄が帰ってきた。
彼こそ、まさに後の神と崇められる存在だった。
俺たちが裁縫箱を並べたり、布を裂いたりした現場をみて声をかけてきたのだ。
かくかくしかじかでと経緯を話すと、ちょっと待ってろと言って引っ込んだ。
そして、キーアイテム「体操服」を持って現れたのだ。
この一件以来、俺たちは彼を崇めることとなる。
「神」と。
今にして思えば、なんで持ってんだww体操服プレイかよwwって感じだが
当時の俺たちにそんな邪な考えは浮かぶべくもない。
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