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64 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:39:59 ID:koXD9SbE0
階段を上がった先は左右二つの部屋にわかれている。一つはピアノの個人レッスン用、
一つはリトミックといって、早い話が幼児の音楽教室用で、幼児は踊ったりするための
広い部屋だ。結衣が飾り付けをするのもそこだった。
リトミック用の部屋の扉は少し開いていたため、俺は階段の一番上から一段下がった
ところに座り、そこで部屋の中の音を聞こうとした。男女の声がした。けっこう
テンションが高く、お酒が入っているのかな、と思わせるようだった。最初は話の
途中だったために、何を話しているのかわからなかったが、途中から話が変わって
結婚の話になった。
65 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:40:25 ID:koXD9SbE0
扉は真ん中の部分がガラス張りになってるため、そこからそっとのぞくと、両者とも
扉に背を向けた形でL字形に座っていた。一瞬だけのぞいて、すぐにまた階段に座った。
「あーあ、俺ももうすぐ結婚だわ」一度しか会ったことがないので、確信は持てないが
おそらく晃一の声だった。
「なんでー、嫌なの?結婚っていいと思うけどなあ」これは間違いなく結衣。
「まぁ、いいっちゃあいいけどさあ。」
「なんで?嫌な理由でもあるの?」
「えー、だって結衣と結婚できないじゃーん」
笑いながら晃一が言う。こいつは何を言っているんだ、と頭の中でイラっという
効果音がなるのがわかる。
66 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:40:57 ID:koXD9SbE0
「何言ってるのー。晃一は加奈ちゃん(晃一の彼女)を幸せにしなさい。」
「加奈は幸せにするけど、結衣は俺のアイドルだからさ。ってかふられたし(笑)」
「まー、タイミングが悪かったよ。でも、私は和真のアイドルだからもう手出しちゃダメだよ」
この結衣のセリフはすごくうれしかった。この時点で出ていってやろうとも思ったが、
何を思ったかもう少し二人のやり取りを聞いていようと思い、階段に腰掛け続けた。
一瞬の沈黙が流れた後に
「ちょーっと・・・」という結衣の声がした。
慌てて扉のガラス部分から中を覗いてみると、晃一と思しき男が結衣の肩に手をまわしていた。
「いいじゃん」晃一が言う。
「ホントにだーめ。晃一酔いすぎー。私も酔ってるけど、晃一よりはマシだな。
ここまでで終わり!おさわりは厳禁です」
と、笑いながら結衣が言う。断りながらも、断った後で空気が悪くならないように
気を遣っているのだろう。結衣らしい断り方だ。
67 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:42:00 ID:koXD9SbE0
「えー、じゃあキスだけしていい?」
「いや、ホント無理。加奈ちゃんいるでしょ。私も和真いるもん。だからダメ」
「でしょ。俺も加奈いるし、結衣には和真くんいるよ。だからお互い結婚する前に最後」
と言うが早いか、後ろからだとはっきりは見えなかったが、晃一が結衣のあごを持って
強引にキスをしたと思う。
「ちょっと、ほんとやめて。手伝ってくれるって言ったからつれてきたんだよ。
こんなことしたらもうみんなで遊べないよ」と、結衣が怒って、というよりも悲しそうに言った。
そんな結衣の悲壮感とは対照的に、晃一は笑いながら、
「別にみんなで遊ぶときはその時、大丈夫でしょ」と言う。
さらに晃一が言い放った一言に、俺は脳を揺さぶられた気分だった。
68 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:42:31 ID:koXD9SbE0
「だって、前に俺らHしたじゃん」
その言葉を聞いたとき、本当に脳天からキリで穴をあけられたんじゃないかと思うくらい、
全身に電流のようなものが走った。あれをショックというのかもしれない。付き合った後、
成り行きでお互いの恋愛の話を聞いていたが、晃一と付き合ったなんて話は聞いたことが
なかったし、付き合わないのにOoクスするなんてありえない、と言っていたはずだ。
「あの時は別れたばっかで、何かおかしかったから。もう過去のことでしょ。お互い忘れよ」と結衣がこれまた悲しそうな声で話す。
「一回も二回も一緒だよ。あの後だって結衣、俺に好きって言ってくれたじゃん」
「あの時はね。若かったんだよ。今は和真が好きだから・・・。あの時私が中途半端な
ことしてごめんって言った時、俺らこれからも友だちだよな、って言ってくれてすごく
ホッとしたんだから」
気のせいか、結衣の声が涙混じりになってきた気がする。
「あー、ごめん。そうだね」と晃一。
69 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:43:09 ID:koXD9SbE0
晃一がこれでひるんだと思った俺は、少し落ち着いた。そして、この場は見なかった
ことにして、一度外に出て音を立てながら入っていってほうが、とりあえず平和
なんじゃないかと言うことを考え始めていた。でも、性欲に支配された男はそんな
ものではめげなかった。
「ごめん。でも、結衣の涙見てたらホント抱きたくなった。」
と言いながら、また結衣に覆いかぶさりキスをした。そのまま今度はそのまま胸を
つかみまさぐり始めた。「イヤ、イヤ・・・」と体をよじっていたが、晃一が自分の顔を
結衣の顔の横に持ってきて、耳を舐めた瞬間に「んっ」という声が出た。いや、声では
なくてあれは息だった。晃一は耳がポイントだと思ったのか、しばらくの間耳を舐め
続けた。
70 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 22:43:47 ID:koXD9SbE0
「いや・・・んっ・・・・・・はぁっ」
と結衣が声にならない声を出し始める。いや、これは廊下で見ている俺の耳には届いて
いなかった。
いつもは耳元で聞こえる結衣の声を頭の中で思い出し、聞こえているような気になって
いたのだと思う。そのまま晃一は耳から首筋へと顔をずらし、首筋から結衣の正面へと
顔を持ってきた。そして、一瞬、結衣と顔を正対させた後、結衣の唇に自分の唇を重ねた。
さっきは瞬時だったキスが今度は、1秒、2秒、3秒、4秒と続いた。唇を一度
離して、もう一度重ねる。顔と顔の角度が付き、先ほどのキスとは違って、明らかに
同意の上のキスだった。ここからは部屋に入っていくことも、その場を立ち去ることも、
俺の選択しにはなかった。というよりも完全に思考がストップして、そこでのぞいて
見ているしかできなかった。
89 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:03:14 ID:koXD9SbE0
俺は、結衣の忘れ物の掲示物を下駄箱におき、その場から静かに立ち去り家に帰った。
妙に冷静だった。それからその日、結衣には一切連絡しなかった。結衣はおそらく母親から、
俺が音楽教室に行ったことを聞いたのだろう。夜中の間中、着信が続いてた。
それからの話は、大した話もないし、抜けるシーンもないので省きます。というか現在
進行中。それはスレ違いなので、ここには書きません。書いててあの時のことを思い出して
激しく鬱になってきた。これは相当長い期間フラッシュバックする気がする。
「さえた」体験を通してわかったことが一つある。『彼女を「さえた」男はOOニーが増える。』
97 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:08:19 ID:45wOQe0sO
以上です。
あれから2カ月たつけど、時々精神的に不安定になったり、かなりイライラしやすくなってるのを感じる。
こういう時に側にいてほしい彼女に裏切られるのは辛いな。
二日で投下しきれてよかった。
ちょうど連投規制にひっかかった。
98 :2009/09/07(月) 23:09:24 ID:AwQNHk060
起承転結で結を楽しみにしてたらお預けかよー
100 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:13:00 ID:45wOQe0sO
じゃあ簡単に書くけど、連投規制されたので、ちょっと待ってて。
このスレ、後日談と進行形は荒れるんで自粛するつもりだったけど…。
1時間くらいで解除されんのか?
>>98
このスレ的な結は、結衣がいったところだと思ってたよ。
872 :さえた男 ◆qs.V74.p1s:2009/09/07(月) 23:54:34 ID:koXD9SbE0
http://venus.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1251979222/
ここから誘導されてきた。
一睡もできないと思ったら、明け方に眠りに落ちたようで、次の日は遅刻ギリギリで仕事に行った。
昨日の、出張帰り→直帰を上司は知ってるから、遅刻しないで本当によかった。仕事中は
昨日のことを一瞬でも忘れられるから助かった。忙しい仕事でよかった、と初めて思ったよ。
そしてその日は残業を3時間ほどしてから会社を出た。会社を出たときに携帯を見ると
結衣からの着信が死ぬほど入ってた。「着信20件」なんて初めて見たわ。電話する気にも
ならなかったし、家にも帰りたくなかったから、自宅に最寄りの駅の居酒屋に立ち寄って、
一人で飲むことにした。でも一人でいても思い出すのは昨日のことばかり。
お酒は入るけどどこか冷めた感じ。全然酔っ払わない。5年前、友人を事故で亡くした時に、みんなで
酒を飲んだ時の感覚に似てた。
873 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:55:00 ID:koXD9SbE0
日付が変わった辺りで店を出て、帰った。アパートの前に結衣がいた。
結衣は「どうしたの・・・。電話出てよ」と言うが、言葉には力がなかった。
「どうしたもこうしたもないよ。話す気はない。」と俺が言うと、しばらくの沈黙の後、
「・・・昨日の・・・レッスン室に来た?」と、おそらく結衣自身も答えがわかって
いることを聞く。お母さんに聞いてるだろうし、下駄箱には俺がおいておいた掲示物が
あったんだ。疑問というよりは確認だろう。
「あー、そうだよ」と俺は言った。『お前が俺以外の男に股開いて感じまくってたよ』って
言ってもよい場面だが、そんなことは言えなかった。言った瞬間にフラッシュバックしそうだったから。
874 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:55:20 ID:koXD9SbE0
とにかく俺はうんざりして、結衣の横を通り抜けて階段を上がろうとした。
結衣は横を通ろうとする俺の腕を掴んでこう言った。
「昨日は、みんなで飲んだの。それで掲示を手伝ってくれる話になったんだけど、みんなは都合が合わなくて・・・」
俺は何も言わずに腕を振りほどき自分の部屋に戻った。何も考えられなくて、
シャワーも浴びずに、スーツのままベッドに倒れこんだ。携帯が震えていたが電源を切った。
875 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:55:55 ID:koXD9SbE0
その後、結衣は3日間、毎日俺の帰りを待ち続けた。そして4日目、仕事場を出たところで、
結衣の母親が待っていた。「結衣が和真君を傷つけてしまった、と言っているんだけど、
あの子自身も憔悴してるの。二人の仲に口を挟む気はないけど、一度会ってやってもら
えないかしら」というようなことを言われた。
876 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:56:35 ID:koXD9SbE0
あっちに書かかなかったが、実は結衣は前の会社の時に、上司のパワハラ紛いの仕事の割り振りが原因で、
うつ病になって、会社を三ヶ月ほど休んだことがある。うつは治りづらいが、その時は幸い原因が
はっきりしていたので、適切な治療をして職場に復帰できた。職場の同僚が証言してくれて、
上司が配置転換になったようだった。
その時に、俺は我慢強く彼女の話を聞き、できるだけ側にいた。正直うつの人の側にいるのは
こちらも精神的に参りそうになるが、俺の大学の専攻が心理学だったため、精神病理には
一般の人よりも知識があり、なんとか乗り越えた。
それもあって、彼女は俺への信頼を高めたのだった。そんなことがあったから、精神的に
参ってしまうかもしれない結衣が心配になったし、母親まで出てこられては、ということ
で一度会うことになった。
877 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:57:25 ID:koXD9SbE0
カフェで会い、話をした。その時の結衣の話をまとめると
・女2男3人でお酒を飲んだ。これはよくあることだし、俺も知っているメンバー。
・飲んだ後に仕事をすると言ったら、みんなで手伝おうという話しになった。
・しかし、いざ掲示するときになったら、なんだかんだでみんな帰ることになった。
・晃一だけが手伝ってくれることになった。
・一瞬、男と二人になることは頭をよぎったが、何にも起きないだろう、と思ってしまった。
・自分は嫌がった。
・私には和真しか考えられないから、許して欲しい。
・今許してもらえなくてもずっと待っている。
ということだった。
878 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:57:46 ID:koXD9SbE0
どこまで本当かはわからないが、嘘ではない気がする。自分は嫌がった、というのも本当だ。でも、その後は感じたんだろ、とまでは聞かなかった。
俺がいつレッスン室に行ったのか。何を見たのかは、一切聞かれなかった。
ただ、そのことについては涙を流しながら謝られた。話す前に話し合い中にお互い
取り乱さない、という約束をしていたため、ゆっくりと頬を伝う涙だった。
俺は、
・はっきり言うと、一番見たくないところを見てしまった。
・俺は今は整理ができていないし、普通の精神状態にない。
・今はやり直すなんてとても考えられない。
・待たれても困る。
ということを伝えた。
879 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/07(月) 23:58:37 ID:koXD9SbE0
そして、その後の合意として、
・家の前で待っていたり、無理に会いにくるのはなし。
・メールくらいなら、気が向けば返す。ただし、返信が来ないうちにどんどん送り続けるのも辞めて欲しい。
・電話はなし
・俺がどういう結論を出すかはわからないし、このまま結衣と話し合うことなく別れを決意するかもしれない。
これだけを話して別れた。
その後、2ヶ月が経った。俺がすぐに返信しないため、一日一通くらいのペースであるが、結衣から来たメールには返している。段々その時の傷は癒えつつあるけど、フラッシュバックはする時もある。
どうなるかは俺も迷走中。今日もメールきた。こんな感じですわ。
881 :2009/09/08(火) 00:05:13 ID:KmgC66SG0>
さえた男 ◆qs.V74.p1s氏
無理矢理されたって言ってるんだから相手を訴えたら復縁考えるくらい言えばいいんじゃない・・・
882 :2009/09/08(火) 00:17:15 ID:3Tk/H/bTO
ちなみに晃一との関係はどうなったの?
883 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/08(火) 00:24:31 ID:MEpNJsh10
>>881
うん、あの後はまったく考えられなかったけど、まあそういう気もする。
でも、同時にやり直して結婚でもしたら、一生フラッシュバックと付き合って
いかなきゃなんかな、とも思うんだよなあ。
>>882
結衣とのってこと?
結衣には聞いて無いけど、こうなってしまった以上、もう交流はないんじゃない?
空気は読める子だから。
ヨリを戻すにしてもどっちにしても晃一に復讐したい気持ちもある。
あ、復讐って言っても肉体的にじゃなくて、彼女バレとかね。
885 :さえた男 ◆qs.V74.p1s :2009/09/08(火) 00:27:23 ID:MEpNJsh10
>>881
ごめん、読解ミス。
OOプであることは否定したんよ。「そこまでじゃない」と。
http://venus.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1217410436/#noRevival
http://venus.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1252395877/#noReviva
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